みなさんは、「い~しや~きいも~」の音を聞いて楽しみに外に出たのに、やきいも屋さんを見失ってしまって、悔しい思いをしたことはありませんか?
ある小学生の女の子が、下校中にやきいも屋さんを見つけて、家に帰ってからお金を持って探しに出ても、見つけることができずに泣いて帰ってきたことがあったそうです。おいしい焼き芋を食べたいのに、どこにいるのか、どこで買えるのかわからない。この問題を解決するために、「竹村の焼き芋研究所」の竹村知紘さんが始めたのが「新焼き芋屋さん」です。
「新焼き芋屋さん」って?
実は最近、焼き芋屋さんの高齢化がすすみ、引退する方が増えているのだそう。そんな焼き芋界の次世代を担う竹村さんのお店の特徴は、「若い・早い・美味い」ということ。
例えば、GPSでどこにいるのかわかるので、食べたいときに見つけやすい。しかもSNSで呼んだら8割の可能性で来てくれる(来れないときはごめんなさい)。
他にも素敵な暖簾や新しい焼き芋ソングを仲間につくってもらったり、夏場には無農薬フルーツを中心としたシロップを使ったかき氷も届けてくれたり。お客様視点でアイデアを生み出すだけでなく、自分と同じように頑張っている若いクリエータ-さんに作ってもらったカワイイのれんをぶら下げて、仲間の活躍の場を、「やきいも~」の音にのせて地域に広げています。
こうして涙を流した女の子の親御さんもツイッターで焼き芋を注文することができ、女の子が蜜がいっぱいでホカホカのおいもを頬張る写真が、竹村さんのもとに届くこととなりました。
竹村さんが焼き芋と出会うまで
「焼き芋にはロマンがある」と語る竹村さんは、もともと焼き芋が大好きでした。そこで「いつか焼き芋屋をやってみたいねん」とたまたま友人のおじいちゃんに話をしてみたところ、すっかり意気投合。というのもそのおじいちゃん、現役の焼き芋屋さんだったのです。そんな奇跡の出会いから、竹村さんの焼き芋人生はスタートしました。
70代だったそのおじいちゃんは、ちょうど焼き芋屋をたたもうと考えていたそう。そんなとき熱い思いを語る竹村さんと出会ったことは、おじいちゃんにとってもよっぽど嬉しかったのでしょう。なんと焼き芋屋さんの軽トラを竹村さんに譲ることにしたのです。
そんなおじいちゃんは竹村さんにとって、まさに「師匠」でした。その後も、美味しいお芋を作ってくれる農家さんを紹介してもらっただけでなく、美味しい焼き方も惜しみなく伝授してもらいました。さまざまな思いと夢を積んで、竹村さんは京都の町を走ります。もちろん一番の売りは、厳選されたサツマイモを師匠直伝の技で焼いた焼き芋の美味しさです。
この記事を読んで小腹がすいたら、職場で学校で、声を掛け合って竹村さんにメッセージを送ってみませんか? ホッカホカの焼き芋が、みなさんの会話を弾ませてくれるはずです。
記事の執筆 石倉 紘子さん、井上 理抄さん
- この記事は、市民ライター講座を受講された方に執筆いただいた記事です。
- 竹村の焼き芋研究所は、「まちづくり・お宝バンク」に登録されている団体です。