生まれつきの脳機能の発達のかたよりによる障害である発達障害。文部科学省調査(2012年)の推定では、通常学級の6〜7%の児童が該当するといわれています。しかし実際には成人を迎えてから自分が発達障害であることを知る方も多いようです。
どんな人にとっても、できることとできないことがあるのは当たり前のこと。しかし発達障害の方はうまく適応できず、自分の可能性を自分で狭めてしまっている方も少なくありません。どうすればその人にしかない凸凹を受け入れ、その人ならではの個性として伸ばすことができるのでしょうか。そんな大きなテーマについて、コーヒーやお茶を片手にゆるりと、じっくりと対話できる場が京都にあります。それが「One day café Kyoto」です。
発達障害の人を支える自助グループはすでにたくさんありますが、One day café Kyotoの特徴は、発達障害者の家族はもちろん、発達障害に関心のある人など、当事者以外の人たちも積極的に参加していること。そして、そこに集う人たちが対等に関わることができるようにさまざまな工夫をしていることです。
そのひとつが「OST(オープンスペーステクノロジー)」と呼ばれる手法です。One day café Kyotoでは、前半に発達障害の当事者や支援者、ユニバーサルデザインの専門家といったゲストの話を聞いたあと、後半に「いまこんな話をしたい」というテーマを何でも出すことができます。例えば「特別学級に通わせるべきか」など、参加者は気になったテーマのグループに参加して対話をするのですが、OSTでは他のグループへの移動も、参加せずに休むことも自由! また、話した内容をその場で模造紙に描いて見える化していく「グラフィックファシリテーション」も取り入れるなど、話すのが苦手な方や人見知りの方でも、あくまで自分のペースで過ごすことができることが何よりの安心感につながっているのです。
このアイデアが本質的な解決策と言えるのは、さまざまな対話の場づくりの工夫によって、実際にそれぞれの凸凹を理解し、共有できる機会をつくっているからかもしれません。
みなさんも自分のできないことに悩んだときは、One day café Kyotoに足を運んでみませんか。きっと自分自身の捉え方が変わるはずです。
記事の執筆 京都精華大学人文学部学生
- この記事は、第3回市民ライター講座に参加した京都精華大学の学生の皆さんに執筆いただいた記事です。
- 凸凹フューチャーセンターの活動は、「まちづくり・お宝バンク」に登録されている取組です。