まちづくり・お宝バンク

お宝No.131
『くらしの学び庵』 -孤立防止のための自助・互助強化プログラム開発プロジェクト-

提案者:  京都大学こころの未来研究センター(吉川 左紀子・清家 理)

 本提案の出発点は、超高齢社会において増加の一途を辿る、孤独死や人知れずの生活破綻者など「無縁社会」で発生している社会病理的現象の解決を「こころ」「きずな」など、人が本来有する力の活用に求めた点である。高度経済成長期以前、長屋的コミュニティーが多く存在し、「スープが冷めない距離」の互助が生活に根付いていた。しかし、核家族化、IT化が進行する中で、地域コミュニティーは崩壊し、前述の社会病理的現象も密室化している。一方、京都には、時節ごとの祭をはじめとした伝統文化が継承されており、それらを大切にする「こころ」と「技」の伝承を通じたコミュニティーのつながりは強く残っている。これは、京都ならではの財産である。

 我々が所属する京都大学こころの未来研究センターは、地域の機関や企業等との連携を通して、センターが有する研究・教育機能を地域社会の期待や要請に対応しうる形で充実させてきた。同時に、研究成果の社会還元により、こころに資する科学的知識の普及を図る取り組みを継続してきた。これらのノウハウと「京都」の「地の利」を活かし、人が本来有する「こころ」「きずな」をエンパワメントしながら、誰もが心豊かに幸せに生きることができる、『コミュニティー創生方策プロジェクト』を昨年度より開始している。ねらいは、地域住民の孤立、孤立に伴う「こころ」「からだ」「社会活動」における不健康や障害(総じてフレイル)予防を図りながら、自助・共助・互助の育成および強化をも図ることである。そして、最終ゴールは、地域で孤立予防のために活動できる人材育成(昔のコミュニティーで言う「おせっかい人」の育成)である。これらの目的を達成する手段として、京都市民に対し、生涯学習プログラム(こころ・からだ・くらし全般で構成。通称:「くらしの学び庵」)を立案し、京町家「風伝館」(共催機関:信頼資本財団提供)で双方向型寺子屋学習を開講している。「くらしの学び庵」で提供するプログラムは、3段階ステップアップ方式(初級・中級・上級コース)、1ステップあたり3か月間で6講義(医学・心理・福祉・生活全般コンテンツ)の設定である。現在は、初級を開講しており、平成28-29年度に中級、平成30-31年度に上級コース開講を予定している。毎講義後には、京都の老舗店の茶菓子とお茶を片手に、ちゃぶ台を囲んだ交流会の時間も設定し、参加者同士が意見交換や悩み相談ができる、「こころのつながり」を創出する場を設けている。さらに、偶数会の講義後には、よろず相談会(医療・心理・介護・司法関係等のくらし全般)を開催し、参加者の生活相談や学習の疑問点に応じる体制も設けている。

 一方、この学びの場に京都大学の学生を参画させ、受付やお茶菓子準備、聞き取りアンケート等を通じ、試行的に多世代交流をはかる仕組みも設定している。若い世代が、参加者の多数を占める高齢者世代と触れ合うことで、それぞれの価値観やライフヒストリーを尊重する重要性について体感可能な実地教育になりうることをめざしている。

(②力の提供・支援型)(④取組情報提供型)

進捗状況・成果

2019/03/09(土)、「くらしの学び庵」修了生の同窓会ワークショップが開催されました!

2019年4月2日

2019/03/09(土)、「くらしの学び庵」修了生の同窓会ワークショップが開催されました!

当日は、20人の修了生が集まり、まずは『「くらしの学び庵」修了後のよもやま話』と題して、①講座で学んだ後の自らの変化についてや、②講座で学んだことの活用について、どのような部分でその経験が活かされているかについて、久々の再会で、積もる話に花を咲かせながら交流しました。

その後、ワーク2では『「くらしの学び庵」での『学び』を活かすこと』と題して、4つのグループでワークショップ形式で意見交換を行いました。
具体的には、ワークショップ前に話した「学びの活用」の結果を踏まえて、「ここがまだ足りない」「こういうことをもう少し学んでみたい」など、これまで続けてきた「くらしの学び庵」講座の今後の展開を考えるべく、講座内容について話し合いました。「認知症、体について、事例を交えながら学びたい」「介護保険についても学びたい」など、実践的な内容を求める声から、「個人の力でできることには限界があるので、個人がつながれるネットワークや仕組みをつくりたい」という将来の展望にいたるまで幅広い意見が出るなど、充実の会となりました。

『京町家 くらしの学び庵』プロジェクト 中級 第1期

2017年1月26日

 現在、超高齢化社会がさらに進行し、同時に核家族化、地域内コミュニケーションの希薄化も進行しています。そのような中、昔は、「町のおせっかい役」が多数存在し、よろず相談的な取り組みが自然な形で町の中に存在していました。しかし現在は、人知れず亡くなっていく高齢者、子育てや介護の悩みを抱え込んでしまい虐待につながってしまう等、悲しい出来事が多発しています。自助・互助に限界が生じているのです。
 そんな課題に正面から取り組もうとしているのが、京都大学こころの未来研究センターの清家先生が中心に進めている「くらしの学び庵」です。3年前初級講座を開始し、今年は初めて中級講座を実施されました。
 1月22日は中級講座の最終回。地域のおせっかい役の基本的な構えや、人の関係づくり、居場所づくりの大切さなど、活発な議論がなされました。今後、上級講座へ、また地域での実践へと展開が期待されます。

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提案者 京都大学こころの未来研究センター(吉川 左紀子・清家 理)
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すべての人に保健と福祉を 

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