まちづくり・お宝バンク

語り合いでリフレッシュ 就労移行支援事業所が取り組む「オープンCAFE」

掲載日: 2017年11月1日

みなさんは「いまの仕事や職場が自分に合っていないなあ」とか、「働きたいのだけど、なかなか一歩を踏み出せないなあ」と悩んだことはありませんか?

 

働くことが不安、できることやしたいことがそもそも分からない、、、就労移行支援事業所「スマイルプラス」が開催する「オープンCAFE」は、求職中だったり、ひきこもっていたり、さまざまな理由で「働く準備ができていない」人たちが、一息つくことができる集まりです。

オープンCAFEは、プレミアムフライデーにあたる月末の金曜日に、スマイルプラスの烏丸御池センターで開催されています。仕事のことで悩んでいる当事者だけでなく、家族や知人など、当事者ではない人も垣根なく参加することができるのも大きな特徴です。

ここでは、仕事の不安や将来の夢から、健康上や生活上の悩みまで、その場にいる支援員に気軽に打ち明けることができます。また、さまざまな人たちの体験談を聞いたり、仕事について考えるワークショップにも参加することができます。もちろんただのおしゃべりだけでも大丈夫。今やオープンCAFEは、誰もがゆったり自由に過ごせる居場所となっているのです。

運営するスマイルプラスの本業は、障害をもつ人たちの就職をお手伝いする就労移行支援事業所です。適正分析から事前トレーニング、体験実習、就職後のコミュニケーションサポートまで、一人一人の個性に合わせた手厚い支援を重ねてきました。その引き出しの多さを生かして、より幅広く「就職したいけれどまだ自信がない」という人たちの支援も行うようになりました。

オープンCAFEを担当しているのが、烏丸御池センターの柳澤洋行さんです。就労支援のプロである柳澤さんは「素人のように、その人ありのままを見て、そこから出発していきたい」と強調します。専門的な知識や一般的な就職形態に囚われすぎて、支援がパターン化してしまわないように、ひとりひとりの「したい」「できる」が実現できるような「その人の輝ける場」をつくることを大切にしています。

その結果、自発的に参加者同士がどんどん盛り上がったり、疾患上、他人に意識が向かないはずの参加者が「あの人と会いたいから、また来ます」とスタッフが驚くような発言をすることもあるそう。

雇い主となる企業の方が「支援すべき」というのは上から目線だったと気付いて考え方を改めるなど、当事者以外の参加者にも変化が生まれています。

「こうした本人をとりまく人たちのコミュニケーションがとても重要で、周囲の理解やほんの少しのサポートで実現できることは、たくさんあるんです」という柳澤さん。その夢は、HIKIKOMORI=引きこもりという言葉を、OTAKUやMOTTAINAIのように日本の眠れる宝として発信していくことです。

(柳澤さん)本当はそれぞれ才能や可能性を秘めていながら、コミュニケーションが苦手なだけでそれらを埋もれさせてよいものか。毎日の通勤がしんどい人にも、協同作業が苦手な人にも、きっと「できる」「したい」はあるし、それに合うような仕事もある。起業の道だってある。

HIKIKOMORIであることを前向きに捉え直すことで、誰もが自分にあった働き方、生き方ができるような社会を目指しています。

 

そういう柳澤さんは現在、利用者の方と祝い花をつくる事業の拡大や高校への出張カフェ、日本でHIKIKOMORIがちな外国人向けカフェなど、さまざまなアイデアを温めているそうです。

もしご自身や、大切な人が仕事のことで悩んでいたら、それぞれの「できる」「したい」を探しに、オープンCAFEを訪ねてみませんか?「その人の輝ける場」をつくるためのヒントがきっと見つかるはずです。

 

記事の執筆 安西 隆子 さん、ハッカライネン ニーナ さん


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