みなさんは、行政に意見を言うのは一部の人がすることで、「パブリックコメントなんて自分には関係ない」と思ったことはありませんか?
私の知り合いのドラマーとしても活動する京都市職員の北川さんも、市民の意見が集まらないだけでなく、そのこと自体が問題になっていないことに困っていました。
その原因である、そもそもパブリックコメント(パブコメ)の認知度が低い、そして、パブコメに答えたとしても、後に市政に反映されたのかがわからず実感がわかない、といった現状を解決したい。そうした想いから、京都市基本計画策定のときに結成された概ね35歳未満の若者による「未来の担い手若者会議U35」のパブコメ部隊有志がはじめたのが、「パブリックコメント普及協会」です。
具体的な活動は、思わずパブコメを出したくなるような魅力的な冊子をつくるためのアドバイスをすること、そして、さまざまなイベントに出張し、一見、固そうな内容をわかりやすく翻訳して伝え、一気にパブコメを集めることです。先日も日本酒条例サミットのイベントにブースを設けて4種類のパブコメを同時に集めたり、「公共土木施設の維持管理に係る市民協働推進指針(案)」に対するパブコメは、地下街を行きかう人々から3時間で53通も集めることができました。
ポイントは、若者会議U35の活動で「パブコメくん」というオリジナルキャラクターまでつくってしまい、活用し続けるなど、何より「パブリックコメント普及協会」メンバーがその活動を楽しんでいることです。京都市基本計画策定の第2次案のときは、全パブコメの約80%を「若者会議U35」で集めることに成功しました。その後、「パブリックコメント普及協会」として、国のパブコメを研究する研究者グループPESTI(ペスティー)と連携し、『対話型パブコメ』という新しい手法も開発。
この活動が本質的な解決策といえるのは、行政ではなく市民が主体となってパブコメのイメージを楽しいものに変え、「そもそも何をしていいのか知らない」という市民が動き出す最初のきっかけを提供していることかもしれません。
ぜひあなたも、まずは京都市のパブコメを覗いてみませんか? 自分の暮らしと京都の未来を考えるヒントが、きっと見つかるはずです。
記事の執筆 久保 友美さん(龍谷大学地域協働総合センター)、新妻 人平さん